2016年3月27日日曜日

師範の単独ゼミ7 昆虫学会&応動昆@大阪

学会の名札紛失しまくりの師範です.
生態学会の名札も昆虫学会の名札もどっかいきました.多分間違って捨てましたorz

今日はO阪府大で開催された昆虫学会&応動昆の合同大会に参加してきました.
ここは高校の時に受験で来て以来ですが,やはりアクセスしにくいのが難点です.
やっとキャンパスに到着したと思ったら,係の方に入学手続きで来た人と間違われました.安心してください,現役の時に落ちてますよ!
…というか私は受験生とは程遠いアラサーである件.


やはり昆虫学会の講演は生態学会に比べて,虫屋ウケしそうなものが多いですね.
中高生による標本展示も見てきましたが,自分が中学高校の時よりもずっと凄いものを採集されてます.
特に糞虫のジオラマ標本の完成度はすごかったです!今にもアレの臭いが漂ってきそうな作品でした.ただ,ムネアカセンチが糞に集まることはほとんどないと思います.最近の研究で菌食性であることが明らかにされているようですので.そこだけちょっと気になりました.ダメだしすみません.

あと,タマムシ採集用の11m竿(NECYDALIS)の実物も見ることができました.間近で見せていただきましたが,めっちゃ長いです.
ネットの部分は非常に軽く,タマムシの鋸歯がが引っかからないように側面はナイロンになっていて,風が抜けるように底だけメッシュになっているそうです.
キンヘリとかを採るにはこんなのが要るんだろうなぁと思いながら見てました.

11mのロッド

会場ではハムシ屋のSさんとも久々にお会いできましたし,一人で行きましたがそれなりに楽しめました.
キャンパス内のユーカリハムシを探せなかったのだけ心残り.
明日も行けたら行ってみよかな.

面白い名前の山の麓

師範です.
東北採集のパート2を書きます.
23日はヨン様と採集に出掛けてきました.
りん氏も行きたがっていたのですが,連絡が取れなかったので2人で行くことに.後から聞いたら,前日遅くまで飲んでいて朝はホテルで爆睡してたようです.

仙台から仙山線の電車に1時間ほど乗って,面白そうな名前の駅で下車.
この日は特に何が目的というわけではなく,沢掘りができそうな場所に来てみました.
ところどころに雪が残っていましたが,地面は凍っておらず安心しました.


沢の斜面を掘ってみると,モリヒラタゴミムシ類 Colpodes sp.やツマグロアカバハネカクシ Hesperus tiroが出てきました.
土の中からは甲虫以外にもコハナバチ類 Lasioglossum sp.,ガロアムシ Galloisiana nipponensisなどの昆虫が見られました.
また,倒木の樹皮をめくるとこんなのがいました.

アカハネムシ類の幼虫

この変な虫,ハサミコムシを太くしたような外見をしていますが,正体はアカハネムシ科の幼虫です.
日本産アカハネムシ科の幼虫についてまとめたHayashi(1969)を見ると,腹端の突起の形状はムネアカクロアカハネムシ Pseudopyrochroa atripennisに近い感じがします.
ところで,この仲間の腹端の突起にはどんな機能があるんでしょうかね?

その後,ヨン様はもろくなった立枯れの木からマイマイカブリ Damaster blaptoides babaianusとクロナガオサムシ Leptocarabus procerulus procerulusを採集.
私はオサムシに嫌われているようなので,仕方なくフキノトウをとっていました.たくさんありましたが,食べきれる分だけ持ち帰りました.
この日は自分で大したものは採れませんでしたが,後からヨン様にヘリアカデオキノコムシ Scaphidium reitteriなどをもらいましたので良しとしましょう.

【追記】
4月6日,数頭持ち帰ったアカハネムシ類の幼虫のうち,1頭が羽化しました.
ムネアカクロではない…


2016年3月25日金曜日

仙台の河川敷

生態学会で仙台に行っていた師範です.
先ほどようやく帰って来ました.
会場では生物関連の書籍がたくさん販売されていて,講演よりも先にそちらに足が向いてしまいました.
欲しい図鑑いっぱいあるなーと思いながら眺めてたら,「The Insects of Japan」の新しいのが出ていました.
高価なので全巻は買えないですが,割引きしていたのでとりあえずVol.6 ヒメゾウムシ亜科を衝動買い.
このシリーズは図説内で多くの新種が記載されているので,その分類群を扱う人には必須文献だと思います.
私はゾウムシ屋ではないですが,ゾウムシ類のものは全て持ってます.
ヒメゾウは,特徴のない黒いやつは今まで同定困難だったので助かりますね.


さて,いつも学会で遠征した時は決まってご当地昆虫を採るのが恒例になっていまして,まずはマイマイカブリ 東北地方南部亜種(いわゆるコアオマイマイカブリ)を狙うことに.
21日,午後からりん氏とヨン様とともに,仙台南部の河川敷へ行って来ました.
りん氏は以前から研究室でほぼ毎日「マイマイトリテーマイマイトリテー」と鳴いていたので,かなり気合が入っていました.

初めて行きましたが結構広い河川敷でした.
とりあえず材を割ってみるも,アオゴミムシやコクワガタばかり.
でも見た感じマイマイがいても良さそうな場所だったので,3人とも諦めず探します.
倒木はあるのですが,マイマイが好みそうな木はなかなか見つけられずにいました.
しばらくして,ようやくりん氏がコアオマイマイ1頭を発見!先を越された.
私とヨン様は依然採れず…

昼食後,なんとか自分も採りたいので,私はマイマイハンターであるりん氏と行動してみることにしました.
そしたらりん氏がマイマイの集団越冬している倒木を見つけ出しました.
私もその近くを掘り始め,ようやくゲットすることができました.
マイマイは材の中よりも,その上に積もっている土の中に多くいるようですね.
それにしても,気合いが入ってる人はやっぱり違いますね…私なんか諦めかけていたところでしたから.
りん氏曰く,最近はマイマイの声が聞こえるようになったんだとか.お薬出しときますね.

コアオマイマイカブリ

2人でそこそこ採ったところで,別の場所にいたヨン様も呼んで一緒に探しました.
ヨン様は,もっと早く呼んでとお怒りでしたが,一人だけちゃっかりクロナガオサムシを採ってました.流石だ.
その場所はもうほとんどマイマイが出てこなかったのですが,別の似た場所でまとまって採集することができ,3人とも満足でした.
ただ砂埃が酷すぎて,この後数時間にわたり右目だけから涙が流れ続ける症状に見舞われました.

最後に,ヒメドロ採集もしておきました.
全て同じ種と思っていたのですが,よく見たら2種採れていました.
光沢のある方は,最初アワツヤかと思ったのですが,同じ場所で採れたミゾツヤと比べて細い体型なのでツヤの方みたいです.
Zaitzeviaは似た種がいくつかいるので,よく観察しないと区別は難しいです.
ツヤとアワツヤに至ってはmtDNAのCOIでも識別できないようなので(Hayashi & Sota, 2010),外部形態で見分けるにはちょっと訓練が必要ですね.

上翅の光沢が強く細い体型のツヤドロムシ(左)
光沢が鈍く丸みを帯びるミゾツヤドロムシ(右)

この日見られた甲虫類.

クロナガオサムシ Leptocarabus procerulus procerulus 1ex.
マイマイカブリ Damaster blaptoides babaianus 36exs.
ヨツボシゴミムシ Panagaeus japonicus 2exs.
アオゴミムシ Chlaenius pallipes 多数
ヤマトデオキノコムシ Scaphidium japonum 1ex.
コクワガタ Dorcus rectus rectus 4exs.
スジクワガタ Dorcus striatipennis striatipennis 1ex.
ツヤドロムシ Zaitzevia nitida 2exs.
ミゾツヤドロムシ Zaitzevia rivalis 1ex.
オオクチキムシ Allecula fuliginosa 1ex.
スジコガシラゴミムシダマシ Heterotarsus carinula 1ex.
カミキリムシ科の一種(幼虫)Cerambycidae gen. et sp. 2exs.

2016年3月13日日曜日

オサムシセミナー

花粉症の師範です.
ヨン様と一緒に,アマチュア主催のオサムシセミナーに参加してきました.
各地からオサムシ好きの多くの方々が集まりました.
普段なかなか聞けない話もあり,楽しかったです.

トラップにオサムシが落ちる様子を動画で撮影したMさんのお話は,今まで私が思っていたベイトの効果を改めて考えさせられるものでした.
オサ屋はだいたい各自が試行錯誤した秘伝のベイトを使ってトラップを掛けることが多いですが,はたしてベイトの違いはオサを採る上でそんなに大きく影響するのだろうか…
私はオサ屋ではないのでわかりません笑.

Tさんのヤコンオサムシのお話は,ヤコンの亜種区分の難しさが伝わってくる内容でした.
先日このブログに投稿した木津川での採集の記事では,師範がろくに検討もせず,ヤコンをssp. cupidicornisとしていました.
しかし実際には,そこは複数亜種の分布境界になっているようで,正確な同定は交尾片を検する必要があります.謹んで訂正致します.

あと,こんなお土産までいただきました.

ホウオウオサムシ(左)
ヒスパヌスコガネオサムシ(右)

2016年3月6日日曜日

りんの単独ゼミ2 多摩川マイマイ


帰省単独ゼミ2回目(2/24)はタマゾン川下流付近にて行いました。
著しく悪かった体調も前日の睡眠で回復し、
目的地の最寄り駅には10時前に到着。
目的地の河川敷にたどり着くと採集痕が多く、
少し歩いてマイマイが出てこないようだったら、駅を変えるつもりで始めました。

が、程なくして流木にかかった土溜まりから2頭。
その後も上流へ向かって歩いていきながらボチボチ追加。


2/22の茨城で採集した紺色に近い色の個体がどんどん出てくる。
途中に水たまりのあるすぐ脇の土からも出てきました。










もちろん水ポチャはしませんでした。










1時間半ほど歩いたところで拓けた場所に出ました。
樹木が少なくなったところで太めの樹木があり、
その周りにはたくさんの枯れ草と土溜まりがありました。

「こんなん出るやろw」

掘るとヒメマイマイ27頭とヨツボシケシキスイ2頭、コガシラアオゴミムシ数頭
が出てきました。
一息つくとぴったり12時になってたので、
午後の用事のことを考えてそこで終了しました。

ノイバラがなくやりやすい所だけ掘ってたので、
しっかりやれば無尽蔵に出てきたと思います。
(茨城の個体を誕生日のヨン様に譲るとして、
師範とさっとんさんにはどうしようかと焦っていましたが、
杞憂に終わってよかったです。)

帰宅して個体を見てみると触角奇形がちらほらいました。





















成果
マイマイカブリ関東・中部地方亜種
Carabus blaptoides 43exs.
ヨツボシケシキスイ 
Librodor japonicus 2exs.
コガシラアオゴミムシ
Chlaenius varricornis 1ex.