2018年2月12日月曜日

ツチホソカタチャレンジ

モザことMozartiusを探索するついでにツチホソカタムシを狙ってみました.
ホソカタムシなのに土壌性という特異な種で,以前から気になっていたものです.

とはいえ,どんなところを狙えばいいのかイマイチわかりません.
クヌギやコナラのある森林の土壌で記録があるようなので,とりあえずそのような場所を探してみることに.

昼過ぎ,モザトラップをかけておいたポイントに到着.トラップをさっさと回収し,ツチホソカタ探索に切り替えます.
しばらく林道を歩き,スギやマツの多い林を抜けるとこんな場所にたどり着きました.


クヌギやコナラも多少見られます.早速そこらへんを篩いまくってみました.
うーむ,こんなところに本当にいるのか・・そもそも冬季の記録が見当たらないけど採れるのものか・・
1時間半ほど土木作業を行って,袋いっぱいリターが集まったところで疲れ果てて撤退.



帰宅してリターをツルグレンへ.はたしてツチホソカタは入ってるのか・・

待つこと1時間.ノミナガクチキやタマキノコなどが落ちるのにツチホソカタは落ちません.
何時間かしてリターが乾燥したら新しいのに交換して…という作業を繰り返します.
やっぱツチホソカタは一筋縄ではいかんかぁ〜 


・・・・ 


・・・・ 


・・・・ポロッ 


んあ?何か落ちてる! 
図鑑で見覚えのあるカタチの虫が落ちてる!!!! 

ツチホソカタムシ

おおおお!これぞツチホソカタムシ Pycnomerus yoshidai!!!!
これは尊い・・

この後さらに複数追加を得ることもできました.
めでたし.めでたし.

なお,本命のモザは無事敗退いたしました笑.

2018年1月6日土曜日

2017年採集納めでアオオサムシ

不倫は文化だ(石田 1996).


一世を風靡した迷言ですね.

かく言うわたくし,さっとんもタマムシ好きを公言していますが,9月を過ぎたあたりから様々な甲虫に浮気します.浮気しちゃうんです.そういう生き物なんです.

まぁ恋愛は一筋なんですけどね! ← 一筋もなにも相手すらいない

前置きはさておき,今回はアオオサムシ基亜種に浮気します.
メンバーは僕,りん氏,twitterで知り合ったK氏の3人.
K氏は初対面だったのですが,溢れ出る優男オーラと虫トークですぐに仲良くなれました.

ポイントに到着して,各々気なる場所を探していきます.
ここで2017年一番の衝撃が!!

なんと,K氏が素手で,素手で崖をガシガシ掘り始めたのです.
バーサーカーもびっくりです.

そしてやっぱり最初にK氏が掘り出しました.早い!すごい!ちょっと恐いww!

焦る二人.

しばらくしてりん氏も掘り出しました.




うっつくすぃ〜 おじさんも早く見つけたい.

二人に励ましてもらいながら,根気よく探していくと,
ついにその時がやってきました.





普通種と言われていますが,そんなの関係ない.
めっちゃ綺麗!
エリトラの縁と前胸背が明るいグリーンになっていてそれがたまらない!

最後はみんなで集合写真をパシャリ.




発見時の状況として,ちょっとした段差でも潜っていて,とくに草木の根が絡む場所からよく出てきた印象でした.
アオオサムシは9亜種に分けられているそうなので,他の場所でも挑戦していきたいと思います.

最後に,
採集に同行してくれた,りん氏K氏ありがとうございました.

2018年1月1日月曜日

クリスマス採集&ツルグレンパーティ(後編)

24日,クリスマスイブ.
昼過ぎにさっとんが家に到着し,ツルグレンパーティ開始!

最近新調した師範流自作ツルグレン装置を披露し,早速昨日とってきた落ち葉をそこに入れました.
よし,準備OK!点灯! あとは待つだけ.時間が経てばポトポトと虫が落ちてくるはずです.
待っている間,ケーキを食べたりDVDを観たり虫トークをしたりしてました. ツルグレンの待ち時間はいつも何が出てくるのがわくわくします.


しばらくして,どんなものが抽出されてるかと覗いてみると…おお!なにやら小さいものが!!
ムクゲキノコムシ の1種でした!この仲間はたいへん小さく,だいたい1mm前後しかありません(めんどくさいので写真は撮っていません).
もう少し待ってみると,今度はタマキノコムシの1種も落ちてきました(めんどくさいので写真は撮っていまん).

この後も,ツルグレン装置の落ち葉を回収してはまた新しいのを入れて待つ,という作業をを繰り返して,6時間ぐらいツルグリっぱなしでした.

さて,全部書くと長くなるので他にどんなものが出てきたか簡単にというと,甲虫はハネカクシやゾウムシなどでした(後日調べたところ,ゾウムシは県内未記録の可能性のある種でした.めんどくさいので写真は撮っていません).
そしてさらに,ピンピン跳ねる見慣れない微小甲虫が.おお!?これはもしかして…
よく見るとノミナガクチキの仲間です.こんな身近で,しかも真冬に採れると思っていなかったので驚きました. かっこいい虫です!

ノミナガクチキの1種

こうして無事ツルグレンパーティは終了.イブに男2人でツルグレンやった人なんかそういないでしょう…笑
とりあえず思ったことは,時間短縮のためにもっとツルグレン装置が欲しい…
でもまあこの2日間でなかなかの成果を上げることができました.

2017年12月29日金曜日

クリスマス採集&ツルグレンパーティ(前編)

メリーツルグリマス!師範です.
さっとん氏の提案で,今年のクリスマスイブは私の家で二人でツルグレンパーティをすることに.
その時に使う落ち葉を採集ついでに前日とりに行き,イブにツルグレンという流れで計画を立てました.

23日,天気は晴れ.街はクリスマスムードです()
朝10時半,待ち合わせの駅に到着.まださっとん氏は来ていない様子.さっとん氏を待つ間,駅前のコンビニに行って温かいコーヒーを購入することに.
カフェインの補給も完了して改札前でさっとん氏を待つも,なかなか来ません.むむ!?ラインをしても返事がありません…これはまだ寝てる説あるな笑.
待つこと30分,さっとん氏から電話があり今起きたとのこと.後から追いかけて来ると言うので,とりあえず先に山へ行くことにしました.

仕方ないのでさっとん氏と合流するまでゆっくり登山道を歩きながら一人で虫を探していました.
今日ここへ来たのは落ち葉を得ることも目的ですが,それとは別に,この時期に採れるある虫を採るという目的がありました.去年は別の場所で狙って惨敗でしたが,はたして今回は採れるのか…
ターゲットの虫も狙いつつ谷沿いでリターを篩っていると,さっそく甲虫が落ちました. この日最初の甲虫はLathrobiumの1種でした.この仲間は各地で分化しているようで,まだまだかなりの未記載種が眠っているであろう分類群です.

Lathrobiumの1種

リターを篩って遊んでるうちに,さっとん氏が到着.一緒に山頂付近を目指しました.
良さげな場所を篩いつつ進んでいくと,また別の虫が落ちました.
ホンドチビヒサゴゴミムシダマシ Laena rotundicollisです!

ホンドチビヒサゴゴミムシダマシ

しかし肝心の狙いの虫が採れません.今年も採れずに終わってしまうのか...
その後も根気よく篩い続けていると・・・・・・ポロッ

んん!?

んんんん!?

ここここれはーーーー!!! 本日のメインターゲット,ハネナシナガクチキ Nipponomarolia kobensisです!!!

ハネナシナガクチキ

悔しそうなさっとん氏.とりあえず確実にいることがわかったので,その付近をくまなく探しました.
が,追加は得られず.うーむ…そうたくさんいるものではない模様.
再び山頂を目指して歩き出したもののロープウェーに誘惑され,中腹からロープウェーに乗って山頂まで上がることに笑.

山頂到着.自販機でカフェインを補給し,再び落ち葉を探しました.
山頂付近は池が凍りついているほどの気温にもかかわらず,いろいろ虫が見られました.
しかし結局ハネナシナガクチキは追加できず.やはり標高の高い場所ではダメなのか…
日も暮れ始めてきたので翌日のために落ち葉を袋に詰め込み,この日は下山することにしました.

翌日のツルグレンパーティではこの落ち葉から何が出てくるか…後編へ続く.

2017年12月27日水曜日

【DIY】600円で作る実体顕微鏡用ツインアーム照明

師範です.
家で同定やら展足をやりたくて,先日実体顕微鏡を購入しました.めちゃくちゃ使い勝手の良い顕微鏡なのですが,唯一の欠点として照明器具が付属していなくて困っていました.照明を購入しようにも本格的なものはやはり高価で,顕微鏡本体の購入により財布にダメージを受けた状態ではなかなか手を出せるものがありませんでした.とりあえずある程度の明るさがあればいいと思って安い照明がないか調べましたが見つからず,100均の商品を組み合わせて自分で作ってみることに.
今回はその作り方をメモ.

材料
・USB LEDライト 2個
・USB延長ケーブル 2個
・土台になるもの(ここではスマホスタンド)
・固定するピンクのやつ(2個入り)

これらを組み合わせて…できたのがこれ.


うむ,見た目はともかく思ったより使いやすい.ちゃんとした照明を購入できるようになるまでは,ひとまずこれでいいかなという感じです.いやむしろコンパクトでかさばらないという点ではこっちのほうがいいかも.ライトは工夫次第でもう少し明るくできそうです.

2017年12月9日土曜日

みかど

師範です.
イチイガシに特異的に見られるテントウムシを探しに京都へ行ってきました.
以前から一度チャレンジしてみたいと思っていたテントウのひとつです.

駅を降りて目的の場所に到着し,さっそくイチイガシを探します.
あたりにはいろんなカシやシイがあり,しばらく散策していると大きなイチイガシが目に入りました.さっそくターゲットの虫がついてないか確認します.
この時期にはイチイガシの葉の裏で越冬することが知られているので,木の下に立ちひたすら目視で黒い点を探します.

一本目の木を探せども,いない・・・
二本目,いない・・・
そう簡単には見つかりません.
直前まで生態写真をググってたからサーチイメージは完璧なはずなのに.

目を皿にして三本目の木を見ていると・・・ いた!!イチイガシの漆黒の精霊,ミカドテントウ Phaenochirus mikadoです!!

イチイガシの葉裏につくミカドテントウ

じっと葉を見上げて不意に何か手にとったと思ったら突然しゃがみこんで黒い点にしか見えない物体を見てニヤニヤする私は完全に怪しい人だったと思います.

移動してさらに別の木を探してみると,まとまって越冬しているミカドテントウが!!


教科書通りの越冬状況を観察でき満足したので帰ることに.
本種はイチイガシにつくという生態がわかるまではかなり稀な種だったようです. それにしてもこんな場所にいるのかぁという感じでした.
イチイガシには他にオオツカヒメテントウなどもつくと言われていますが,今回は見つかりませんでした.

<追記>
後日,採集品は見事にすべてゴム化していましたが無理矢理展足しました.改めて見ても良さみが深いテントウムシですね〜.右についてるのは雄交尾器です.

2017年8月8日火曜日

また新たな世界に足を踏み入れてしまった

師範です.
今までその存在は知っていたものの,ずっと図鑑の中の存在だった甲虫に,ダルマガムシの仲間(特にOchthebius)がいました.今年は学会やら調査やらで遠征する機会が多かったので,そのついでにいつか採ってみたいと思っていたそれらを狙ってみることに.

しかしこの仲間はちょっと特殊な環境にいるため,採集経験のない自分に果たして見つけられるのか心配でした.というのも,これらは水面から突き出た岩の湿った部分にいるようで,一般的な水生昆虫を採るようにタモ網を振り回してるだけではまず採ることができないからです.しかもサイズがせいぜい数mmのため,それを見逃さずに探し出す方法を考える必要がありました.いろいろ考えた末,効率良く見つけられる方法がわかり,以下の3種のダルマガムシをなんとか採ることができました.

まずはクロコブセスジダルマガムシ Ochthebius granulosus
限られた地域の岩礁地帯の,大きめの岩に生息している種です.この時はまだ3月だったにもかかわらず,そこそこの個体数が見られました.この時が初のダルマガムシ探しでしたが,無事に落とすことができ完全勝利でした.

クロコブセスジダルマガムシ

次にナカネダルマガムシ O. nakanei
りん氏と一緒に採集に行った時に渓流の岩場で採れました.やや少ない種だと思いますが,その場所では普通に見られました.りん氏は苦戦しつつもなんとか1頭採って喜んでいました(帰ってから見てみるとなぜかナカネダルマガムシは消えていて,ノミハムシに化けていたとのこと…謎).

ナカネダルマガムシ

最後にホンシュウセスジダルマガムシ O. japonicus
この仲間の中では比較的多い印象です.とはいえ,特殊な環境にいるせいで地元に分布しているにもかかわらず今まで採れていませんでした.河川中流域の岩などにいましたが,特にテトラポットにかなりの数がついていました.太陽光の下で見るとピカピカして綺麗な色です.

ホンシュウセスジダルマガムシ

〈追記〉
この後に,止水性のミヤタケダルマガムシ Hydraena miyatakeiも採ることができました.
1.5mmほどのダルマガムシで,注意していないと見落としてしまいそうです.本種は岩の表面ではなく水中の植物などにつかまっていて,湿地をかき混ぜると水面にプカプカ浮いてきました.