2017年8月8日火曜日

また新たな世界に足を踏み入れてしまった

師範です.
今までその存在は知っていたものの,ずっと図鑑の中の存在だった甲虫に,ダルマガムシの仲間(特にOchthebius)がいました.今年は学会やら調査やらで遠征する機会が多かったので,そのついでにいつか採ってみたいと思っていたそれらを狙ってみることに.

しかしこの仲間はちょっと特殊な環境にいるため,採集経験のない自分に果たして見つけられるのか心配でした.というのも,これらは水面から突き出た岩の湿った部分にいるようで,一般的な水生昆虫を採るようにタモ網を振り回してるだけではまず採ることができないからです.しかもサイズがせいぜい数mmのため,それを見逃さずに探し出す方法を考える必要がありました.いろいろ考えた末,効率良く見つけられる方法がわかり,以下の3種のダルマガムシをなんとか採ることができました.

まずはクロコブセスジダルマガムシ Ochthebius granulosus
限られた地域の岩礁地帯の,大きめの岩に生息している種です.この時はまだ3月だったにもかかわらず,そこそこの個体数が見られました.この時が初のダルマガムシ探しでしたが,無事に落とすことができ完全勝利でした.

クロコブセスジダルマガムシ

次にナカネダルマガムシ O. nakanei
りん氏と一緒に採集に行った時に渓流の岩場で採れました.やや少ない種だと思いますが,その場所では普通に見られました.りん氏は苦戦しつつもなんとか1頭採って喜んでいました(帰ってから見てみるとなぜかナカネダルマガムシは消えていて,ノミハムシに化けていたとのこと…謎).

ナカネダルマガムシ

最後にホンシュウセスジダルマガムシ O. japonicus
この仲間の中では比較的多い印象です.とはいえ,特殊な環境にいるせいで地元に分布しているにもかかわらず今まで採れていませんでした.河川中流域の岩などにいましたが,特にテトラポットにかなりの数がついていました.太陽光の下で見るとピカピカして綺麗な色です.

ホンシュウセスジダルマガムシ

〈追記〉
この後に,止水性のミヤタケダルマガムシ Hydraena miyatakeiも採ることができました.
1.5mmほどのダルマガムシで,注意していないと見落としてしまいそうです.本種は岩の表面ではなく水中の植物などにつかまっていて,湿地をかき混ぜると水面にプカプカ浮いてきました.