2016年1月11日月曜日

師範の単独ゼミ4 生駒山麓

最近チビゴミに毒されている師範です.
昨日は生駒山麓へ出動していました.
お察しの通り,狙いはイコマメクラチビゴミムシ Stygiotrechus itoiです.

電車で文献記録のある場所付近まで行き,その周辺の沢へ向かいました.
Ashida & Kitayama(2003)の原記載によると,イコマメクラが最初に発見されたのは石の下からだそうですが,レアケースかもしれないので王道の沢掘りをしました.
生駒山麓は主に花崗岩からなるので,先週行った場所とは異なり,一見チビゴミのいなさそうな地質です.
いくつか沢をまわってみましたが,案の定いい場所が全然ありません.


こんなところにチビゴミがいるのかと疑問を抱きつつ,せっかく来て掘らずに帰るわけにはいかず,師範はひたすら斜面にピッケルを振り下ろし続けるのでした.


サラサラ流れる土...奪われる体力...漂う無理ゲー感...



…はい.ということで,この日見られた甲虫はセンチコガネ Phelotrupes laevistriatusとアカバハネカクシ Platydracus brevicorniのみでした.
ともに光の速さでリリース.
チビゴミに集中していて,材割りや水昆探しは今回できませんでした.
ツルグレンに期待して,沢沿いの落ち葉だけ持ち帰りました.
悲しすぎる…何も採ってないのに手は痛いです.

採れなさすぎて記録することがないので,生駒山に因む虫の話でも書きます.
関西の虫屋なら一度はお世話になるであろう生駒山ですが,金剛山などに比べると,その名前がつく昆虫は少ないです.
甲虫ではイコマメクラとイコマケシツチゾウムシ Trachyphloeosoma advenaぐらいだと思います.
もっとも,後者は生駒の標本をもとに記載されたものの,現在では別種のシノニムとして扱われているのですが.
そんなわけでイコマメクラは数少ない生駒特産種なのです.
また,コンゴウメクラチビゴミムシ群の北限種なので学術的にも貴重だと思います.
こんないい虫に会うためなら,またリベンジしたいです.


<追記>
帰宅後,沢で集めた落ち葉をツルグレンにかけました.

師範流 自作ツルグレン装置

落ち葉を入れている容器は底が網目状になっていて,出てきた生き物が下のロートの先端にあるチューブに集まります.
チューブにはエタノールを少し入れています.
あとは上部を目の細かいネットで覆い,ライトを当てて一晩おきます.


そしたらこんなムネボソヨツメハネカクシ属の一種 Boreaphilus sp.が出てきました.
Boreaphilusとしましたが,近縁な仲間にArchaeoboreaphilusPlaneboreaphilusなどがあって難しいです)

Boreaphilus sp.

日本産ハネカクシ科総目録(柴田ほか,2013)によれば,Boreaphilusは日本から5種知られているようですが,私の力量ではちょっと種まで落とせる自信ないです.

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